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心臓血管外科

心臓血管外科の紹介

 新生児から90歳を越える幅広い年齢層の先天性心疾患、虚血性心疾患、弁膜疾患、大血管疾患などに対応しています。また院内態勢として、いつでも緊急手術を施行できる準備が整っており超急性期の緊急手術が可能で多くの症例を救命しています。2009年から2013年までの先天性心疾患、虚血性心疾患、弁膜疾患および大血管疾患それぞれの手術件数の比率は28%、20%、25%および26%と幅広い年齢層ならびに疾患を対象に手術を施行しており、地域の中核病院として機能していることが解ります。現在スタッフは6人で、横山幸房部長、横手 淳部長、長谷川広樹部長、芦田真一医師、山田真生医師、山川将人医師の体制で診療に当たっています。

基本方針

 後天性心疾患の約45%を占める虚血性心疾患では、左冠動脈主幹部病変や多枝病変に対して手術を施行しています。2005年から人工心肺を用いない大動脈冠動脈バイパス手術を導入し状態に応じて術式を選択しています。また急性心筋梗塞例に対してはPCPS(経皮的心肺補助装置)、IABP(大動脈内バルーンパンピング)などによる心肺補助下にPTCA(経皮的冠動脈形成術)などの救急処置を施行した後、緊急あるいは準緊急手術を施行するなど、循環器内科と協力し対処しています。心筋梗塞に合併した僧帽弁閉鎖不全症や左心室瘤などに対しても弁形成術、左心室形成術などで積極的に対応しています。
弁膜疾患では、特に僧帽弁閉鎖不全症に対しては極力人工弁を使用しない弁形成術を心がけています。また最近増加してきている高齢者の大動脈弁狭窄症など、人工弁置換術が必要な患者さんには機械弁と生体弁の長所短所を説明して患者さんにとってより良い人工弁の選択を心がけています。またカテーテル治療で人工弁を移植するTAVRに向けての準備も進めています。大動脈弁閉鎖不全症に対してはマルファン症候群に代表される大動脈基部拡張症による大動脈弁閉鎖不全症に対しては自己の大動脈弁を温存する術式を積極的に採用しています。
先天性心疾患に対しても、小児循環器科、新生児科はもとより当院にはNICU(新生児集中治療管理室)が併設されており、適切に対応できる体制が整っていますので、超未熟児の動脈間開存症に対する手術や、総肺静脈環流異常、大血管転位症などの新生児期手術にも対応しています。ただ新生児、乳児期での手術では避けがたい合併症のあることも事実で、慎重に対応しています。また複雑心奇形例に対しては乳児期に準備手術を行い患児の成長を図り、来るべき根治術に備えます。たとえば単心室症に対しては段階的に準備手術を重ね、機能的な根治術であるいわいるフォンタン型手術(TCPC)を行っていますが、フォンタン型手術の遠隔期には様々な問題が生じることが明らかとなり、手術時期などさらなる検討を迫られています。
大血管疾患は近年手術対象患者が増えています。なかでも急性大動脈解離症や胸部、腹部大動脈瘤の破裂例は急生期の致命率が高く、迅速な対応が必要です。当院では診断がつき次第、緊急手術を施行することを基本として多くの症例を救命しています。緊急手術を必要としない患者さんには術前に十分な検査を行ったうえで手術を行います。最近は弓部大動脈に関連した動脈瘤が多く、これらに対しては手術中の脳保護に十分配慮した手術方法を選択して、積極的に弓部大動脈全置換術を行い成績の向上が得られていますが、未だ満足できる成績ではありません。下行大動脈瘤や腹部大動脈瘤に対しては十分検討した上でカテーテル治療も選択しています。
心大血管手術に欠かせない人工心肺装置に関しても低圧持続吸引法や血液浄化法を開発、導入するなどの工夫をすることによって安全に手術を施行できるように心がけています。無輸血手術も重要と考えており、多くの成人待機手術例で実施していますが、乳幼児期手術では極端な貧血による悪影響が無輸血によるメリットを凌駕することが明らかとなっていますので乳幼児期手術では極端な貧血は避けるようにしています。

スタッフ紹介

横手 淳
役職 部長
卒業大学名
医師免許取得年
名古屋大学
1995年
専門医資格(その他) 心臓血管外科専門医
日本外科学会認定医、専門医
日本循環器学会専門医 
専門分野   
芦田 真一
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役職 医長
卒業大学名
医師免許取得年
名古屋市立大学
2007年
専門医資格(その他) 日本心臓血管外科学会
日本外科学会
専門分野   
山川 将人
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役職 医員
卒業大学名
医師免許取得年
名古屋大学
2017年
専門医資格(その他) 日本外科学会 
腹部ステントグラフト指導医 
専門分野   
柴原 弘就
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役職 医員
卒業大学名
医師免許取得年
藤田医科大学
2021年
専門医資格(その他)
専門分野   
藤井 亮介
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役職 医員
卒業大学名
医師免許取得年
東海大学
2022年
専門医資格(その他)
専門分野   

手術症例

診療実績

2023年 2022年 2021年 2020年 2019年
先天性心疾患(カテーテル治療) 18 10 13 17 14
虚血性心疾患 21 33 31 24 19
弁膜症(カテーテル治療) 121(76) 105(60) 94(39) 73(48) 91(47)
心臓腫瘍など 4 8 7 3 5
後天性心疾患(合計) 146 146 132 100 115
胸部大動脈 28 23 28 26 30
胸腹部大動脈 0 2 0 0 0
腹部大動脈 14 16 15 17 25
ステントグラフト内挿術(胸部・腹部) 46 36 41 31 31
大動脈疾患 88 77 84 74 86
合計 252 233 229 191 215

学会発表

  2022年 2021年 2020年 2019年 2018年
国内学会発表数 4 3 9 7 7
論文数 0 1 1 3 2