ホーム採用情報研修医 募集情報 > 院長あいさつ

研修医 募集情報

院長あいさつ

 大学を卒業し国家試験に合格して研修医としてスタートする皆さんは、最新の医療知識を身につけそのスタートラインに立っています。これから実際に医療の世界に入っていくわけです。ところが、皆さんもおそらく予想されているでしょうが、実地医療は医学だけでは進まないものです。特に救急医療など、頭にある医学知識を迅速に取捨選択して使用することが要求されますし、患者さんや他のメディカルスタッフとの円滑なコミュニケーションも大切です。これらは実地に働くことによって徐々に身につき、磨かれていくものです。
 米国など、ひところEvidence-based Medicineがもてはやされた国では、経験に基づく医療(Experience-based Medicine)は低ランクのものとされてきました。しかし実際に医療を行ってみると、今までどういう症例どれだけを経験してきたか、その蓄積がいかに大切であるかが分かってきます。医者は患者と話をしながら、話し方・顔色・姿勢などを無意識のうちに観察します。症例を積み重ねると、検査結果に関わらず「何かヤバい状態の患者さんだ」というのが分かるようになってきます(もちろん検査結果は大切ですが)。 
大垣市民病院新院長写真 - コピー.jpg
大垣市民病院
院 長 豊田 秀徳
 このように、最新の医学知識を持った皆さんの、その知識を実地で円滑に使えるようにしつつ、いっぱしの医師になるまでを手助けするのが臨床研修制度であると考えます。皆さんの多くは、いずれは各専門分野に進んでいくことになりますが、医師は各専門分野のエキスパートである前に、まず「お医者さん」です。皆さんが医師免許証を取得するのは、いきなり専門だけを診る、専門分野しか診れない医療者になるためではなく、まずは患者を診察し、診断できる医師であることが求められます。
 もう1つ、医師としてのキャリアのスタート時期は皆さんが思っているより遥かに重要です。医師になって最初の3年がその後の医師人生を決めると言っても過言ではありません。これは専門分野を決めるという話ではなく、「医師としての姿勢」の話です。最初の3年でどれだけしっかり仕事をするか、どれだけ積極的に仕事に関わったかによって、その後の医師という職務に対する姿勢が決まります。あまりにのんびりした職場で最初のキャリアを開始した医師は、おそらくその後の、職場を変わっての激務に耐えられることはないでしょう(逆は問題なし)。「医師」という職業に対する姿勢は最初に植え付けられるものです。
 そういう意味では、大垣市民病院は皆さんがキャリアを始める病院としては大変適していると信じています。何より症例が多いこと、症例の幅が広いこと、救急診療が充実していること、最先端の治療を行い、常にアップデートしていることなど、若く活力のある先生が働く場としては最適であると自負しています。当院はもともと臨床研修制度の開始以前、30年以上前から、名古屋大学の初期臨床研修制度に基づき、多くの卒業直後の先生方を研修医として受け入れてきました。このため医師・看護師・コメディカル・事務職員の全体にもともと教育に対する意識・ノウハウが整っています。医師に関しては、各専門分野のエキスパートがいて指導してくれます。また専門医の資格も効率的に取得できるようシステムの改善に取り組んでいます。そんな中で皆さんが、徐々に立派な医師に成長していくのをみるのは嬉しいものです。 症例が多いことは「忙しい」ことの裏返しです。しかしもちろん皆さんが全例を担当するわけではなく、初期研修医として勉強になる症例を担当すればいいでしょう。救急外来・病棟・検査など、取り組んでいくと日々生活は充実しています。その中で医師としてのさまざまなスキルも身についていくでしょう。
 皆さん、若いうちに努力してしっかりとした医療者になりましょう。そんな中で自分に合った専門分野を見出し、そこに進んでいけばよいでしょう。そんな手助けが当院でできればと切に願っています。