放射線治療科
放射線治療科の紹介
放射線治療は、患部に放射線を照射することで病気を治療する方法で、手術や薬物療法(抗がん剤)とならぶ「がん3大療法」の一つです。今から120年ほど前に始まり、今では世界のがん患者さんの半数以上、日本でも多くの患者さんが受けている治療です。
当院においては、各診療科の主治医が総合的に考えて放射線治療が必要と判断されたときに放射線治療科の診察を受けることになります。放射線治療科では、医師をはじめとした治療チーム、ならびに各診療科と連携して、迅速で適切かつ安全な放射線治療を提供します。
基本方針
- 常に進歩している分野であり、最新の知識を得るよう努力しています。
- 常勤、非常勤ともに医師のマンパワーを充実させていきます。
トピックス
2021年3月 中部地方初のバリアン社製最新型放射線治療装置(HalcyonTM)を導入しました。
2010年8月 バリアン社&ブレインラボ社製放射線治療装置(Novalis Tx)を導入しました。
HalcyonTM |
Novalis Tx |
スタッフ紹介
- 熊野 智康
役職 | 部長 |
---|---|
卒業大学名 医師免許取得年 |
金沢大学 1998年 |
専門医資格(その他) | 放射線治療専門医 がん治療認定医 |
専門分野 |
手術症例
診療実績
2022年 | 2021年 | 2020年 | 2019年 | 2018年 | |
---|---|---|---|---|---|
照射件数 | 11,085 | 10,112 | 11,809 | 11,234 | 10,633 |
頭蓋内定位放射線治療件数 | 35 | 19 | 26 | 43 | 31 |
体幹部定位放射線治療件数 | 40 | 21 | 23 | 10 | 10 |
治療計画件数 | 768 | 768 | 925 | 890 | 841 |
学会発表
なし
I. 放射線治療とは
放射線治療は"ひとにやさしい"がん治療
放射線治療は、手術(外科療法)や化学療法(抗がん剤)と並び、がん治療の三本柱の一つです。放射線治療は手術と同じような局所療法の1つです。がん治療において放射線治療が行われる割合は日本では欧米に比べて低い傾向にありますが、放射線治療には次のように、他のがん治療にはないメリットがあります。
●身体的・精神的に負担が少ない治療法
放射線治療は手術と同じ局所療法の1つですが、手術と異なり臓器の機能や見た目を損なうリスクが少ないため、副作用を抑え、身体的・精神的に負担の少ない治療法です。合併症のため他の治療の選択が難しい方や、ご年配の患者さんでも治療を検討することができます。
●経済的な負担が少ない治療法
放射線治療は一部を除いて健康保険が効きます。高額療養費制度も使えるため、高額な自己負担は必要ありません。また、手術や薬物療法に比べて負担が軽い場合が多い治療法です。
●QOL(生活の質)の維持がしやすい治療法
放射線治療は通院での治療が可能ですので※、治療中の生活を大きく変えることなく治療に臨むことができます。また、副作用が抑えられるため、治療後のQOL(生活の質)の維持もしやすい治療法です。
※一部の放射線治療や、抗がん剤治療との併用により全身状態を管理する必要がある場合は、入院を伴います。
Ⅱ. 当院の放射線治療
放射線治療には、外部放射線治療、小線源治療、内用療法(標的アイソトープ治療)の3つがありますが、当院では外部放射線治療を行っています。
当院では2010年にバリアン社&ブレインラボ社製の「Novalis Tx」、2021年3月にバリアン社の最新型放射線治療装置「Halcyon」を導入しました。
Ⅲ. 放射線治療の流れ
当院の放射線治療は、以下のような流れで行っております。
1. 放射線治療担当医の診察
各診療科の主治医が放射線治療を必要と判断されたとき、放射線治療科の診察を受けていただきます。診察時には、治療効果、有害事象(副作用)、治療回数などを説明します。
2.治療計画のための画像検査
治療装置とつながっているCT装置で、実際の治療時と同じ姿勢で照射する部位を撮影します。正確に放射線治療を行うためには毎回の治療時に同じ姿勢になることが大切です。頭部や頚部などの治療では各種の固定具を作成した後にCT撮影を行います。また、治療の位置合わせの目印に、マジックで線を描いたり、マーカー(シール)を貼ったりします。
3. 治療計画
治療計画用CTや、他の画像検査(造影CT、MRI、PETなど)を統合し、医師が治療範囲を決定し、さらに、診療放射線技師や医学物理士がビームの角度や本数、照射野、強度などをアレンジして最適な線量分布を計算します。完成した線量分布を医師が評価して治療計画を決定します。
治療計画が完成すると、その治療が安全に行われることを保証するため、線量分布が正しいか測定して確認することも行います。
4. 毎回の治療
放射線治療室に入室し、放射線治療装置のベッドで計画CT時と全く同じ姿勢になっていただき放射線治療を行います。
治療は毎日行います(土日祝日や装置メンテナンス日を除く)。治療回数は患者さんによって異なります。
1回あたりの時間は、初回の治療時や照射範囲を変更する際には10~30分程度かかりますが、それ以降は毎日5分程度で終了します。(※一般外照射の場合)
5. 照射期間中の診察
照射期間中には一週間に一回医師の診察を行い、有害事象(副作用)や治療効果を確認します。医師の診察がない日でも、看護師や診療放射線技師が医師に症状を報告します。気になる症状があれば、看護師や診療放射線技師にお伝えください。
6. 治療後の経過観察
すべての回数の放射線治療を完了した患者さんの経過観察は、基本的には主治医が行います。ただ、放射線治療のことについてご相談のある方は遠慮なく放射線治療科にご相談ください。
Ⅳ. 放射線治療を行うスタッフ
チーム医療で患者さんの放射線治療を支えます
放射線治療科では、医師をはじめとした治療チームが患者さんの放射線治療を支えます。安心して治療をお受けください。
●放射線治療医
患者さんの病状に放射線治療が勧められるかを判断し、治療の方法を決定します。また、治療中や治療後の診察を行います。
●看護師
治療期間を通して、患者さんの看護(様子の観察やケア)をします。がん放射線療法看護認定看護師もいます。なんなりとご相談ください。
●診療放射線技師、医学物理士
医師の指示のもとに正確で安全な放射線照射を行います。また、治療計画CTの撮影や、線量計算、治療や装置の精度確認も行います。計画CT時や治療期間中は毎日お会いしますので、ご不明な点や気になる症状があれば遠慮なく相談してください。
放射線治療科では、日々安全で安心できる放射線治療を提供してまいります。
Ⅴ. 放射線治療に関する詳しい情報
放射線治療について詳しく知りたい方は、以下のサイトもご覧ください。
外部ページ:放射線治療を受けられる方へ(公益社団法人 放射線腫瘍学会)