超音波検査
超音波検査は、別名でエコー検査やUS検査とも呼ばれています。超音波検査の原理は、 人間の耳には聞こえない高い周波数の音波をからだにあて、体の中で反射してくる音波をコンピュータで映像化して、 異常がないかどうかを調べる検査です。検査する際は、からだにゼリーをつけてプローブ(体の中をみる聴診器みたいなもの) をあてて行います。X線CTのように放射線による被ばくもなく、リアルタイムに体の中をみることができ、 装置自体も小さく、小さな部屋でベッドに横たわり、苦痛なく簡単に検査することが出来ます。
使用装置
▶ 富士フイルムヘルスケア株式会社製 LISENDO 880LE
▶ GE ヘルスケア・ジャパン株式会社製 LOGIQ E10
▶ キヤノンメディカルシステムズ株式会社製 Aplio i800 など
超音波検査の種類
超音波検査は大きく「心臓超音波検査」と「腹部超音波検査」に分けられ、その他部位別に「頚部」「乳腺」「血管」「造影・治療支援」などの超音波検査があります。
心臓超音波検査
心臓に超音波をあて、心臓の大きさや心臓の壁の厚さ、心臓の壁の運動や弁の動きの状態(弁の狭窄 や逆流)、 心臓内での異常物の有無などを観察して、心臓の機能を評価し様々な心疾患や心奇形の診断に役立てます。
☆写真の説明☆心臓の壁運動をリアルタイムに観察することが可能です。 |
腹部超音波検査
肝臓、胆嚢、腎臓、膵臓、脾臓、そして膀胱、前立腺、子宮、卵巣など腹部臓器の全般が検査対象となります。臓器の大きさや形、腫瘍の有無、胆嚢や腎臓の石などがわかります。また、機器の進歩もあって、従来調べられることの少なかった食道や胃、腸などの消化管も検査対象となっています。検査中に、息を吸ったり吐いたり、お腹を膨らませたりし、必要に応じて体位変換(側臥位・座位など)を行います。 最近では、CT画像やMRI画像と超音波画像を同時に観察することができる最新超音波装置が導入され、腫瘍の診断や治療支援超音波検査の精度が向上しています。さらに最近注目を浴びているエラストグラフィでは、肝の硬さも評価できます。
☆写真の説明☆CT画像と超音波画像を同じ断面で比較しながら観察が可能です。 |
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☆写真の説明☆エラストグラフィを用いて肝臓の硬さをカラー表示で視覚的にみることが可能です。青色は正常で柔らかい肝臓で、赤色になるにつれ肝硬変に近い状態となります。 |
頚部超音波検査
甲状腺やリンパ節、顎下腺、耳下腺などを検査します。頚部の臓器は皮膚表面から浅い所にあるため超音波で検査しやすい部位です。臓器の大きさや内部の様子、 腫瘍の有無、個数などを観察しますが、腫瘍がある場合には、超音波で見ながら針を刺して細胞を採り、細胞診検査を行う場合もあります。
乳腺超音波検査
乳腺超音波検査は、乳房に超音波をあて、組織からの反射をとらえて画像にし、 わずかな濃度の違いで病巣を診断するものです。手に触れない数ミリのしこりを見つけ出すことができます。しこりの内部構造の鑑別がしやすく、 乳腺の密な若い人の診断にも使うことができます。また乳腺領域でもエラストグラフィによるしこりの硬さ診断や造影剤を用いた血流評価も可能となっています。 疑わしいしこりがある時は、超音波画像を見ながら、しこりの中に針を刺して、細胞を吸い取って顕微鏡で調べます。 ごく細い針でごく少量の細胞を取るので、麻酔はせずに行います。
血管超音波検査
近年、高齢化社会と生活習慣の欧米化による動脈硬化性疾患(脳、心臓や足などの血管がつまる)が増加しています。 頸部の動脈や下肢の動脈を調べること で、動脈硬化の早期発見やその重症度がわかります。 またエコノミー症候群で知られている下肢静脈血栓(静脈のなかに血のかたまりができる)や下肢静脈瘤 (足の表面に浮き出た静脈)の様子も見ることができます。 めまいやふらつき、足の冷感や痛み、むくみの原因が超音波検査で分かることがあります。
造影・治療支援超音波検査
造影超音波検査は超音波造影剤を使用することにより、通常の超音波検査では得ることの出来ない腫瘍内の血液の流れ方やたまり具合を見ることが可能な検査方法で、 造影CTやMRI、血管造影に匹敵するような診断価値を持つ検査法です。
治療支援超音波検査は、腫瘍に直接針を刺して特殊な電波や薬品で治療を行う際、 安全に穿刺が出来るように超音波で目的の部位を映し出しガイドをする方法です。これは臓器の細胞を採取する時にも応用されます。
胎児超音波検査
胎児心奇形や不整脈、心奇形以外の奇形が疑われた場合の他に、染色体異常が疑われた場合、羊水量の異常、子宮内発育不全、先天性心疾患の家族歴のある場合などが適応となり、 産婦人科外来で行っています。
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