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超音波検査装置を用いた特殊な検査と治療

1.造影超音波検査

 超音波検査は被検者への負担が少なく簡便な検査ですが、CTやMRIと比べると病変の描出能は低いものでした。しかし、超音波専用の造影剤が開発されたことで検査の精度が格段に向上し、CTやMRIと同様に病変を正確に描出できるようになりました。使用する造影剤の成分は99.1%がガラクトースという糖であることから、アレルギーの副作用がありません。さらに体外への排泄は腎臓を通さず肺から呼気とともに排出されますので、CT・MRIの造影剤にアレルギーを持っている方や腎臓に障害のある方にも安全に行うことができます。
 造影超音波検査は、主に肝臓の腫瘍に対して適応されますが、膵臓・胆嚢・腸の腫瘍の診断にも有用です。当院では、東芝社製(Aplio)、アロカ製(α10)の高感度・高分解能な装置を使用し、画像診断の精度向上に努めています。
 提示するのは肝細胞癌の症例です。肝細胞癌は血流が豊富なため、正常肝細胞より多くの造影剤が一時的に蓄えられ強く造影されます。造影剤は黄金色で表示されています。静脈より注入された造影剤はわずか10秒足らずで肝臓へ達します。肝細胞癌は周りの肝細胞より強く造影され、血流が豊富であると分かります。これにより正確に肝細胞癌と診断することが可能であります。

【造影超音波検査装置】
【造影超音波検査装置】
【造影超音波検査の超音波画像】
【造影超音波検査の超音波画像】

2.超音波ガイド下穿刺吸引細胞診

 超音波ガイド下穿刺吸引細胞診とは、超音波画像を見ながら病変部に針を刺し、細胞を採取して悪性度を診断する方法です。触知のみによる穿刺に比べ、リアルタイムの画像を見ながら行えますので、安全かつ確実な穿刺が可能で、5ミリメートル程度の甲状腺腫瘤、乳腺腫瘤であれば、容易に細胞を採取できます。細い針を用いるため軽い痛みしかありません。

【超音波穿刺装置】
【超音波穿刺装置】
【甲状腺腫様穿刺時の超音波画像】
【甲状腺腫様穿刺時の超音波画像】

3.経皮的ラジオ波焼灼療法(RFA)

 RFAは、肝臓の腫瘍に対して皮膚を通して特殊な針を刺し、ラジオ波(電磁波)によって腫瘍を焼灼壊死させる治療法で、肝臓には比較的負担の少ない治療法です。対象となる腫瘍は、大きさが比較的小さく、数の少ないものが適応となりますが、一般的には大きさ3センチメートル、個数3個までとされています。
 まず、腫瘍を超音波検査にて確認します。その画面を観察しながら、皮膚の局所麻酔後、特殊な金属製の針(太さ1ミリメートル位)を腫瘍に刺します。針先からラジオ波による熱が発生して腫瘍を焼灼して、壊死させます。1個の腫瘍に対しての焼灼時間は12分から15分位ですが、腫瘍の数により一度の治療で数回焼灼することがあります。治療中に痛みがある程度生じますが、鎮痛剤、鎮静剤を適宜使用します。
 この治療の合併症としては、発熱や腹痛が20%ほどにみられ、出血、感染、肝機能増悪、胆嚢損傷などの重篤な合併症が0.5%ほどに起こりえます。しかし、ほとんどの場合症状は軽く数日で軽快します。