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子宮がん

子宮癌は、癌の発生部位によって大きく2つに分類されます。子宮頸部に発生したものを子宮頸癌、子宮体部に発生したものを子宮体癌とよびます。

子宮頸癌

1.子宮頸癌とは

定期的な癌検診をすることにより、早期発見、早期治療がなされ、癌の進展、死亡を予防することができる癌の一つです。子宮頸癌の原因として、近年、性感染症の一つであるヒト乳頭腫ウイルス感染であることが明らかになりました。このウイルス感染により子宮頸部上皮内の病変が異形成、上皮内癌、浸潤癌へと進む過程がわかっています。

2.症状

異形成(前癌病変)、初期癌では症状はありません。子宮頸部にはっきりした病巣をつくってきた段階では接触出血(性交時の出血)、不正出血、帯下の増加などの症状が出現することになります。

3.診断

子宮頸部検診の手順は、子宮頸部の細胞採取を行い、細胞を標本にして細胞診を行います。細胞診断は、クラス分類され、6つのグループに分けられます。

クラスⅠ: 正常である
Ⅱ: 異型細胞を認めるが良性である
Ⅲ: 悪性を疑うが断定できない
Ⅲa: 悪性を少し疑う
Ⅲb: 悪性をかなり疑う
Ⅳ: きわめて強く悪性を疑う
Ⅴ: 悪性である。

クラスⅢa以上の場合は 前癌病変や浸潤癌が含まれている可能性があり、コルポスコピー(子宮頸部拡大鏡診)や ねらい組織診などの二次検査(精密検査)が必要となります。<

4.病期(ステージ)

子宮頸癌の進行期分類は次のように分けられます。

0期: 上皮内癌
Ⅰ期: 癌が子宮頸部に限局するもの
Ⅱ期: 癌が子宮頸部を超えて広がっているが骨盤壁または腔壁下3分の1には達していないもの
Ⅲ期: 癌浸潤が骨盤壁に達するもので、腫瘍魂と骨盤壁との間にすき間がない。
または、腔壁浸潤が下3分の1に達するもの
Ⅳ期: 癌が小骨盤腔を超えて広がるか、膀胱直腸の粘膜を侵すもの

5.治療

手術療法と放射線療法が主として行われます。化学療法(抗癌剤による治療)は、補助的な治療法と考えられています。どのような治療を選ぶかは 臨床進行期、組織型、年齢、合併症の有無などを考慮して総合的に判断します。

施行レジメン一覧

番号レジメン番号レジメン名
1 13150010_6 ★≪TC≫PTX + CBDCA (175/5)
2 13150020_4 ★Weekly PTX(80)
3 13150030_4 Weekly CPT-11(100)
4 13150040_7 ≪DC≫DOC + CBDCA (70/5)
5 13150050_4 ★Monthly PTX (135)
6 13150060_4 GEM (1000) 婦人科がん
7 13150080_10 CDDP + 5-FU (70/700)
8 13150090_7 CPT-11 + CDDP (60/60)
9 13150100_3 MTX (20)
10 13150110_4 IFM + BLM + NDP (1.5/7.5/80)
11 13150120_5 DOC (70)
12 13150130_6 CBDCA (6)
13 13150140_6 ★Weekly ≪TC≫PTX + CBDCA (80/6)
14 13150150_5 CDGP (100)
15 13150160_4 MTX + ACT-D (0.4/0.01)
16 13150170_4 VP-16+ACT-D(100/0.01)
17 13150180_6 ≪TN≫ PTX + CDGP (180/75)
18 13150210_8 ≪CAP≫CPA + ADM + CDDP (500/50/75)
19 13150220_4 ≪CYVADIC≫ CPA + VCR + ADM + DTIC (400/1/40/200)
20 13150230_2 ドキシル(40)
21 13150270_2 Weekly CDDP (40)
22 13150290_3 ★PTX + CBDCA + BV (175/5/15)
23 13150330_2 ≪AP≫ADM + CDDP (60/100)(がん肉腫)
24 13150380_1 ★PTX + CDDP (175/50)
25 13150390_1 ★PTX + CDDP + BV (175/50/15)
26 13150400_1 ≪AP≫ADM + CDDP (60/50) (子宮体がん)
27 13150410_2 ADM(75)(がん肉腫)

6.進行度別治療法

臨床進行期による一般的な治療を示します。

0期: 単純子宮全摘が基本法となります。
手術は腹式(開腹によるもの)と膣式(経膣的に摘出)とがあります。
Ⅰ~Ⅱ期: 子宮頸癌の根治術である広汎子宮全摘術を行います。
また同時に骨盤内の所属リンパ節の郭清も行います。
手術で肉癌的に病巣は充分摘出されていても、顕微鏡的に微少な癌の残存が疑われる場合には手術後放射線照射を行います。
Ⅲ~Ⅳ期: 一般的にこの段階では治療切除は困難で根治的治療として放射線治療を行います。

7.予後

5年生存率は一般的に以下の通りです。

Ⅰ期: 80~90%
Ⅱ期: 70~75%
Ⅲ期: 50~60%
Ⅳ期: 10~25%

子宮体癌

1.子宮体癌とは

臨床病理的特徴から2つのタイプ(タイプⅠとタイプⅡ)に分けることができると考えられています。タイプⅠは、若年者や閉経前の中年女性に発症することが多く、子宮癌全体の約75%を占めている若年者型の子宮体癌です。過剰のエストロゲン(卵胞ホルモン)刺激をうけた一連の増殖性病変を経て発病すると考えられます。患者の大多数はエストロゲンに関連した肥満、糖尿病などのリスク因子を有していて、高エストロゲン血症の持続状態にあると考えられます。タイプⅡは、エストロゲン依存性でなく、閉経後の中高年に発症することが多い中高年型の子宮体癌です。増殖症を経ずに子宮内膜の腺細胞より直接に癌が発生すると推定されます。

2.症状

不正出血、漿液性あるいは膿性帯下などです。

3.診断

子宮内膜細胞診は、子宮体癌の検出方法としてきわめて有効な方法で検出率は90%以上です。方法は、子宮膣部を消毒して細胞採取をします。細胞診の診断は、3段階あるいは子宮頸癌の細胞診と同様の6段階に分類されます。疑陽性、あるいは、クラスⅢ以上の診断の場合には、子宮内膜全面掻爬による病理組織診(精密検査)を行う必要があります。

4.病期(ステージ)

日本産婦人科学会では次のように分類しています。

0期: 子宮内膜異型増殖症
Ⅰ期: 癌が子宮体部に限局するもの
Ⅱ期: 癌が子宮体部および頸部に及ぶもの
Ⅲ期: 癌が子宮外に広がるが小骨盤腔をこえていないもの、または、所属リンパ節移転のあるもの
Ⅳ期: 癌が少骨盤腔をこえているか、明らかに膀胱、または、腸粘膜を侵すもの

5.治療

子宮体癌の治療法には、手術療法、放射線療法、化学療法(抗癌剤投与)、ホルモン療法などがありますが、子宮体癌の大部分は放射線療法の効きにくい腺癌であるので、治療法としては手術療法が第一となります。さらに、再発の可能性の高いハイリスク症例や進行例には術後療法として放射線療法や化学療法、あるいは、ホルモン療法を含めた集学的治療を行います。

6.予後

5年生存率(日本産婦人科学会婦人科腫瘍委員会1998年)

Ⅰ期: 83.7%
Ⅱ期: 66.3%
Ⅲ期: 32.6%
Ⅳ期: 18.2%