卵巣がん
1.卵巣癌とは
卵巣には極めて多種多彩の腫瘍が発生します。卵巣腫癌には良性と悪性、さらに境界悪性腫癌(低悪性度群)に分類される腫瘍があります。
2.症状
卵巣癌は silent killer と呼ばれるように、初期には症状があらわれません。有効な検診法もなく、約半数がⅢ期、Ⅳ期の進行癌で発見されます。
3.診断
卵巣癌の確定診断は、手術による摘出標本の病理組織診断によって行われます。画像診断(超音波検査、CT、MRI検査)、腫瘍マーカーである程度は推定できますが、100%ではありません。
4.病期
国際産婦人科連合(FIGO)では以下のように4つに分類しています。
Ⅰ期: | 卵巣内限局 |
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Ⅱ期: | 骨盤内浸潤を伴った片側または両側の腫瘍 |
Ⅲ期: | 骨盤外の腹腔内移転を伴うか、後腹膜リンパ節、または鼠径リンパ節移を伴うもの |
Ⅳ期: | 腹腔を超える遠隔転移を伴うもの |
5.治療
固型癌である卵巣癌は、手術による病巣の摘出が第一となります。卵巣癌は卵巣のみに限局している初期のものから、骨盤腔内や腹腔内に広がったり後腹膜のリンパ節に転移したりという進行癌のものまであり、どれだけの広がりがあるのか進行期を明らかにする必要があります。この進行期の決定のための手術をステージング手術とよび、標準術式としては、両側付属器摘出(卵管、卵巣の摘出)、子宮全摘、大網切除、後腹膜リンパ節郭清、腹膜内細胞診を行います。卵巣癌が他の癌に比べて特徴的なのは、進行癌に対しても積極的な手術療法が有効なことです。卵巣癌は抗癌剤に対して中等度感受性群に属しており、一般的に抗癌剤が比較的よく効くと考えられています。病巣が完全に切除できない不完全手術例や手術不能例でも抗癌剤の奏効率がある程度あれば延命効果が認められます。
施行レジメン一覧
番号 | レジメン番号 | レジメン名 |
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1 | 13150010_6 | ★≪TC≫PTX + CBDCA (175/5) |
2 | 13150030_4 | Weekly CPT-11(100) |
3 | 13150040_7 | ≪DC≫DOC + CBDCA (70/5) |
4 | 13150050_4 | ★Monthly PTX (135) |
5 | 13150060_4 | GEM (1000) 婦人科がん |
6 | 13150070_10 | ≪BEP≫ BLM + ETP + CDDP(20/100/20) |
7 | 13150090_7 | CPT-11 + CDDP (60/60) |
8 | 13150120_5 | DOC (70) |
9 | 13150130_6 | CBDCA (6) |
10 | 13150140_6 | ★Weekly ≪TC≫PTX + CBDCA (80/6) |
11 | 13150150_5 | CDGP (100) |
12 | 13150180_6 | ≪TN≫ PTX + CDGP (180/75) |
13 | 13150190_6 | ≪CC≫CPA + CBDCA (900/6) |
14 | 13150200_7 | ≪CP≫CPA + CDDP (900/75) |
15 | 13150210_8 | ≪CAP≫CPA + ADM + CDDP (500/50/75) |
16 | 13150230_2 | ドキシル(40) |
17 | 13150240_4 | PLD + CBDCA (30/5) |
18 | 13150250_1 | ハイカムチン (1.25) |
19 | 13150260_2 | GEM + CBDCA (1000/4) |
20 | 13150280_1 | ≪VeIP≫VLB + IFM + CDDP (0.11/1.2/20) |
21 | 13150290_3 | ★PTX + CBDCA + BV (175/5/15) |
22 | 13150300_2 | BV maintenance (15) |
23 | 13150310_1 | ★≪TIP≫PTX + IFM + CDDP (175/1.2/20) |
24 | 13150320_1 | GEM + CBDCA + BV (1000/4/15) |
25 | 13150340_1 | DOC + CBDCA + BV (70/5/15) |
26 | 13150350_1 | ★Weekly PTX + BV (80/10) |
27 | 13150360_1 | ハイカムチン + BV (1.25/15) |
28 | 13150370_1 | ドキシル + BV (40/10) |
6.進行期別治療法
早期癌(Ⅰ,Ⅱ期): | 手術で確認された初期の癌でも、 一部のハイリスク(組織型、腹水細胞診陽性例など)症例に対しては化学療法(抗癌剤投与)が行われます。 |
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進行癌(Ⅲ、Ⅳ期): | 進行癌に対しては、手術後に化学療法を行います。 現在の標準治療はパクリタキセルとカルボプラチンの併用化学寮法です。 |
7.予後
5年生存率(1991年 HIGO報告)
Ⅰ期: | 79% |
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Ⅱ期: | 57% |
Ⅲ期: | 22% |
Ⅳ期: | 8.4% |