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臨床工学技術科

臨床工学技術科の紹介

今日の医療現場では数多くの機器を使用し高度医療を支えています。新しい機能が搭載された機器が作られ操作が複雑になっていく。そんな中、臨床工学技術科は医療現場で機器の操作を行いながら医師を始めその他の医療スタッフと協力し患者さんの治療に従事、また医療機器の保守点検も行い安全な機器操作/定期的な機器点検を行うことで良質な医療を提供するという病院理念の一端を担っています。
臨床工学技術科には臨床工学技士33名が在籍。医療工学センターと透析センターに配属され医師の指示の下に生命維持管理装置の操作および、保守点検を行うことを業務としています。
生命維持管理装置とは、呼吸(肺)、循環(心臓)、代謝(腎臓)機能の一部を代わりに行う装置です。実際には人工心肺、人工呼吸器、透析装置などがあります。また、「保守点検」の観点から定期的な医療機器の点検、機器の更新依頼を行うことで機器の機能性/安全性を確保しています。

医療工学センター 透析センター

医療工学センター の業務内容

人工心肺業務

心臓血管外科の手術において心臓の拍動を止めなくてはならないのですが、心臓を止めてしまうと体内の血液が流れなくなり呼吸が行われません。そのため心臓を止めている間、代わりに呼吸を行い体中に血液を送るのが人工心肺装置です。当院では陰圧による吸引/脱血補助、血液を送ることを1つのポンプだけで行い、手術が安全に進行するように術者/麻酔科医とコミュニケーションをとりながら簡便かつ安全な人工心肺を行っています。

人工心肺装置

補助循環業務

IABP:大動脈内バルーンパンピング

下行大動脈に細長い風船を入れ、膨張と収縮を繰り返すことで心臓の仕事量を軽減させ冠動脈への血流を増加させる装置です。
心臓へのエネルギー供給のため冠動脈があります。その血管が閉塞する(心筋梗塞)または内径が狭くなる(狭心症)ことで血液が流れ難くなるため予防的に、または心機能が悪くなってしまい血圧が保てない心原性ショックの場合に導入します。導入時・使用中の操作補助等を行っています。

PCPS:経皮的心肺補助

不整脈や急性心筋梗塞などにより心肺停止状態になった場合、治療時に呼吸・循環状態の悪化が考えられる場合に呼吸と血液循環を補助する装置です。
私たちは24時間体制でPCPSの導入に対応、使用中は医師と相談しながら患者さんの呼吸・循環状態が回復するまで管理を行います。

血液浄化業務

集中治療室,救急救命センターにおいて腎不全などにより体内に過剰に水分が貯まる、老廃物が排出できない状態になる、肝臓機能が低下する、薬物中毒、重度の感染症など早期に対処が必要な患者さんに対し濃度勾配/濾過/吸着/交換という方法を用いて血液中に存在する不要な物質の除去を行っています。

血液透析 持続血液濾過透析

人工呼吸器業務

院内において手術後で麻酔がかかっている、呼吸に必要な筋肉の動きが悪くなり自分で呼吸できない、肺でのガス交換能低下などにより自身の呼吸だけでは足りない場合、呼吸を助けてくれるのが人工呼吸器です。呼吸器の設定を医師と相談しながら変更を行い早期呼吸器の離脱を介助しています。長期使用の方には定期的に回路交換を行います。
人工呼吸器がいつでも使用できるように整備を行い、集中治療室/救命救急センター/新生児集中治療室に常備しています。
また在宅人工呼吸療法を行われる方への機器の貸し出しや説明・指導を行い、外来にて回路交換を行います。

常備される人工呼吸器 人工呼吸器の点検

循環器系業務

植え込み型ペースメーカー(上)と
ICD(下)
植え込み手術への立会

規則的に洞結節から発生した電気的刺激が刺激伝導系を通り心臓全体に伝わることで心臓が収縮するのですがその刺激が

  1. 発生できない、
  2. 発生できるが心臓全体に伝わらない
  3. 発生するリズム・刺激が異常

という場合、機器を体内に植え込み刺激のリズムを整えるため「心臓ペースメーカー{左記上段}」の植え込みを行います。 またCRT(心臓再同期療法)において致死性の不整脈を治療、心臓内の正常な刺激のリズムを作るCRT-D・CRT-P、突然に起こった心室細動や心室頻拍に即座に電気治療を行うICD(植込み型除細動器)といった機械の植え込み手術を行います。大きさは5から8cmほどです。 その際、プログラマーを操作し

  • 植え込んだ機器の設定
  • 刺激を伝える伝線の状態の確認

を行います。

プログラマーの1例
ペースメーカ外来

植え込み後、ペースメーカ外来にて

  • 電池の消耗度
  • 機能的なチェック
  • 前回のチェックからの動作状態の確認

などを行い、患者さんの最適な状態に設定プログラムを変更します。

ペースメーカ外来は

  • 循環器科  :毎週火曜日
  • 心臓血管外科:月1回
  • 第2小児科 :月1回 

行っています。

保守管理業務

手術室、外来、病棟において使用される様々な機器において医療工学センターまたはメーカーによる定期点検スケジュールを組み実施、始業点検・終業点検を行い安全に寄与しています。また、故障機器の発見・修理を行い、機器の更新依頼も行っています。

定期点検実施機器

人工呼吸器、輸液ポンプ、シリンジポンプ、超音波ネブライザー、心細動除去装置、血液浄化装置、人工心肺装置、補助循環装置、自己血回収装置、SpO2モニタ、深部静脈血栓(DVT)予防装置、体外式ペースメーカー、麻酔器、電気メス、保育器、患者モニター、集中患者監視装置、分娩監視装置、心電計

透析センターの業務内容は「糖尿病・腎臓内科」内に紹介してありますのでご覧ください。

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